ドライアイ
ドライアイと花粉症も関係があります
最近、花粉症の患者さんが増えています。春先になるとあちこちで「クシューン」とくしゃみをしたり、目をこすっている人を見うけます。ちょっと少し前ですと、くしゃみをしたり鼻をかんだりしていると、ティッシュペーパーのムダ使いのように思われていましたが、いまではもうすっかり花粉症は市民権を得て、立派な病気として認められています。
この花粉症も、ドライアイと関係があるのです。東京歯科大学眼科がこの問題に取り組んでおられますので、話を聞いてみました。
目だけでなく全身が乾く「シェーグレン症候群」
ドライアイは、これまで何度も述べてきましたように、目の表面が乾く病気ですが、しばしば目だけでなく全身も乾きやすくなってしまう場合があります。これは「シェーグレン症候群」と呼ばれ、ドライアイのひとつの典型的なタイプともされています。
中年の女性に多くみられる病気で、日本では数十万人の患者がいると考えられており、東京都などでは難病に指定され、医療費が免除されています。
シェーグレン症候群が目にあらわれると、基礎分泌だけでなく反射性分泌も傷害を受けるので常に人工涙液で目の表面をぬらしていないとすぐに乾いてしまううえに、目のなかに入ったゴミなどがなかなか洗い流されないので、かなり重症になりやすいのです。
シェーグレン症候群は、目以外にもからだのあちこちに影響を与えますが、そのいくつかをお話しましょう。
ドライアイにはいくつかの種類があります
ここまで、ドライアイの基本的な定義をお話ししてきましたが、実際にはひと口にドライアイといってもその種類はさまざまです。もともと涙の少ない人もいれば、目の使いすぎによってドライアイになっている人もいます。あるいは、コンピュータをやるときだけ間題になる比較的軽いタイプや、ほかの症状を伴ったドライアイもあります。ここでは、いろいろなタイプのドライアイを簡単にご紹介しましょう。
眼科医の私でさえ気づかなかったドライアイ
私自身、実はドライアイなのですが、眼科医になってからも、五年間まったく自分で気づきませんでした。
目は昔から疲れやすいほうで、疲れ目に効果があるというと、目薬でも栄養剤でもいろいろ試してみたことを覚えています。勉強をしているとつい目が疲れてやめてしまう。麻雀も途中までは勝っていても、徹夜になると目が疲れて負けがこむ。よくまばたきをして、友達から「落ち着きのない人ね」といわれる。このような経験があっても、目が乾くと感じたこともありませんでしたし、自分がまさかドライアイであるとは思いもよりませんでした。
涙の減少を計るいろいろな方法
ドライアイは、普通の生活をしていて涙の経済が破綻した状態をさすわけですが、では、涙が正常かどうかを判断するには、どうすればいいのでしようか。前章でも述べたように、産生された涙は、一部が蒸発し大部分が鼻涙管から鼻のなかに排出されます。この一連の動きを検査するのは、なかなか大変です。
目の疲れの原因としてドライアイが注目されつつある
目の疲れの原因としてドライアイが注目されつつあることは、おわかりいただけたと思います。また、ドライアイがなかなか気づきにくい病気であることもおわかりになったでしょう。
では、ドライアイはなぜ起こるのでしょうか。ドライアイの発症のしくみは少し複雑ですので、お金の話にたとえてお話ししてみましょう。
いまここにお金持ちの人がいるとします。この人は普通に生活していれば、余裕のある経済状態を保っていられます。しかし、度を超えた浪費をすれば、やはり破産してしまいます。一方、お金のない人は、人並みの贅沢をしようとすれば破産してしまいますが、質素に暮らせばなんとかやっていけるのです。
眼科医の私でさえ気づかなかったドライアイ
私自身、実はドライアイなのですが、眼科医になってからも、五年間まったく自分で気づきませんでした。
目は昔から疲れやすいほうで、疲れ目に効果があるというと、目薬でも栄養剤でもいろいろ試してみたことを覚えています。勉強をしているとつい目が疲れてやめてしまう。麻雀も途中までは勝っていても、徹夜になると目が疲れて負けがこむ。よくまばたきをして、友達から「落ち着きのない人ね」といわれる。このような経験があっても、目が乾くと感じたこともありませんでしたし、自分がまさかドライアイであるとは思いもよりませんでした。
1985年の夏に、厚生省のプログラムでハーバード大学に留学に行ったときのことです。私の指導教官のケニョン先生が、涙の検査をするので正常者として参加してほしいと頼まれました。喜んで実験台になったのですが、のちに述べる「シルマーテスト」という方法で涙の量を計ったところ、なんとゼロ。正常では10ミリメートル程度ぬれるのに、私はまったくぬれなかったのです。まさに、青天の霹靂とぱこのことでした。
ドライアイは文明病
ドライアイは簡単にいえば目が乾いていろいろな間題を起こす病気です。昔は、この病気は日本でも「涙液分泌減少症」とか「乾性角結膜炎」とか「眼乾燥症」などと、むずかしい名前で呼ばれていました。お医者さんも患者さんも涙が完全に出なくなってから診断していましたので、本当にひどい患者さんだけが病気として認められていたようです。
最近、目の疲れの原因として話題になっているのは、昔、考えられていた乾性角結膜炎よりもずっと軽いタイプのものです。
ですから、現在ドライアイとひと口にいっても、ひどい症状のものから軽いタイプのものまで、幅広くさしていることになります。
アメリカでは、ドライアイは約10年ほど前から増加しており、眼科医のなかでも最も診断率の低い病気として啓蒙運動が始まりました。アメリカ眼科学会でも、ドライアイのパンフレットを作成して啓蒙活動を行なっています。そのためか、ドライアイはかなりの認知を受けて、患者数も数千万人といわれています。さらに、患者さんの会もできて、会員も数万人に達しているところもあります。
イギリスやフランス、カナダでも状況は似たりよったりですが、日本ではドライアイは最近になってやっと認知されてきました。現在、日本のドライアイ研究会の試算によると、約800万人の方がドライアイの潜在患者であろうと考えられています。